2011年施行の改正廃棄物処理法で新たに設けられた「処理困難通知」。
処理困難通知が出されるタイミング、処理困難通知を受け取った場合の対応についてまとめています。
目次
処理困難通知とは
処理困難通知とは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」において、下記のように定められています。
産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者は、現に委託を受けている産業廃棄物の収集、運搬又は処分を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある事由として環境省令で定める事由が生じたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該委託をした者に書面により通知しなければならない。
参照廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条13
処理困難通知は、廃棄物の収集運搬や処分が困難になったときや困難となるおそれがが生じた日から10日以内に排出事業者などマニフェストを交付した者に書面で通知しなければなりません。
処理困難通知が出されるタイミング
処理困難通知が出されるタイミングは以下の通りです。
- 産業廃棄物の処理施設で何らかの事故が発生し、その施設で保管する産業廃棄物の量が保管の上限に達したとき。
- 収集運搬業、処分業の廃止により、それまでに委託を受けている収集運搬・処分の方法や産業廃棄物の種類が許可の範囲外になったとき。
- 処分施設を廃止・休止した結果、それまでに委託を受けている産業廃棄物の処分ができなくなったとき。
- 最終処分場において、埋め立て容量まで埋め立てしたことにより、埋め立て処分ができなくなったとき。
- 処理業者が欠格要件に該当したとき。
- 処理事業の停止命令を受けたとき。
- 処理施設について、その施設の設置許可の取り消しを受けたとき。
- 処理施設の改善命令、処理方法の改善命令や措置命令を受け、施設が使用できないことにより、その施設で保管する産業廃棄物の量が保管の上限に達したとき。
処理困難通知を受けたときに排出事業者が行うこと
処理困難通知を受け取ってからの必要な措置を紹介します。
新たな廃棄物や未処理の廃棄物はないか確認
処理困難通知を受け取った時点で新たに廃棄物の委託を行うことが無いように手配する必要があります。
また、すでに委託している廃棄物の処理が完了しているか確認します。
マニュフェストE票(最終処分終了報告)が届いていれば、廃棄物の処理が完了していることになります。
届いていない場合は処理業者に連絡をし、内容確認します。
実際に現場に赴き、把握すると確実です。
別ルートなどで処分を委託
委託していた廃棄物の処理が終わっていない場合は、
- 自社に持ち帰る。
- 処理が適切に行えるようになるまで、新たな処理委託は行わない。
- 委託契約を解除して新たな業者に委託しなおす。
- 再委託基準にのっとり、別の処理業者に再委託する。
といった方法をとる必要があります。
都道府県知事などに報告書を提出
処理困難通知を受けた日から30日以内に「措置内容等報告書」を都道府県知事または政令市長に提出しなければなりません。
通知を受け取った全排出事業者が提出しなければならず、通知を受け取る前にすでに廃棄物の処理が完了していた場合も「適切に処理が完了」した旨報告が必要です。
まとめ
産業廃棄物の処理が適切に終わるまで、処理業者を選出した排出事業者が責任もって見届けなければなりません。
処理困難通知を受け取ると、排出事業者は未処理の廃棄物がないか即座に確認し、30日以内に都道府県知事などに報告しなければなりません。
まずは、処理困難通知を受け取ることが無いよう、優良処理業者の選定や状況を都度確認するようにしましょう。
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