事業活動で使用した小型家電は「小型家電リサイクル法」の対象?

小型家電リサイクル法は、企業の事業活動によって排出された使用済み小型家電も対象になります。家庭から排出された使用済み小型家電の場合との違いや注意点についても解説します。

小型家電リサイクル法

2013年4月からスタートした「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」は、使用済み小型電子機器に利用されている金属等の再資源化の促進を目的とした法律です。使えなくなったパソコンや携帯電話等の小型家電を回収し、分解・粉砕、素材ごとに選別し、有害物質の処理を行った上で、貴重な金属資源としてリサイクルします。

この法律では、パソコンや携帯電話等の電気機械器具を28に分類した制度対象品目を定めています。この対象品目は、家庭から排出された使用済み小型家電だけでなく、企業の事業活動によって排出された使用済み小型家電も該当します。

小型家電リサイクル法における家庭と事業活動での違い

事業活動によって排出された使用済み小型家電は、認定事業者に引き渡すことで、分解・粉砕、素材ごとに選別し、有害物質の処理を行った上で、再資源化されます。しかし、小型家電リサイクル法は促進型の制度であり「努力義務」であるため、産業廃棄物として処理することも可能です。

また、家庭から排出された使用済み小型家電は、市町村が公共施設等に設置している小型家電専用の回収ボックスに投入し、回収してもらうことができますが、これは基本的に家庭向け事業のため、企業の事業活動から排出された使用済み小型家電を投入・回収することはできません。

委託契約書・マニフェストの必要性

事業活動から排出された使用済み小型家電のリサイクルを委託する場合は、廃棄物処理法に基づいた収集・運搬および中間処理を委託するための「委託契約書」「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の交付が必要になる点に注意しましょう。

対象品目の注意点

家庭で使用されていたコピー機は小型家電リサイクル法の対象になりますが、企業で業務用として使用されていたコピー機(複合機)工作機械等は、小型家電リサイクル法の対象外となります。

認定事業者の責任

認定事業者とは、小型家電リサイクル法に基づき適正に使用済み小型家電の再資源化を行うことができる者として、環境大臣が認定した事業者のことを言います。認定を受けた事業者のみ、以下の「小型家電認定事業者マーク」を使用することができ、全国の認定事業者は環境省のホームページ認定事業者および連絡先一覧から検索できるようになっています。

認定事業者は、小型家電の盗難対策・情報漏洩対策を講じてリサイクルを行いますが、排出事業者側もパソコン等のデータ消去をすることが奨励されています。消去方法は、製品を製造した各メーカーのホームページを確認しましょう。

不適正な処理の委託・悪徳業者に注意

事業活動によって排出された小型家電の処理は、他の産業廃棄物と同様に、不適正な事業者への委託は排出事業者の責任を問われます。不適正な処理を行う事業者に小型家電を渡してしまわないよう、書面を介した委託契約の締結、引き渡した小型家電がどこでどのように処理されたか処理状況の確認、不審な宣伝を行っている回収業者に注意することが重要です。

参照環境省 小型家電リサイクル法ガイドブック
参照使用済み小型電子機器等の回収に係るガイドライン

まとめ

小型家電リサイクル法の対象となる小型家電は「使用を終了したもの」が対象となるため、まだ使用可能な製品は対象外となります。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、小型家電リサイクル法ではなく、「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」の対象となる点にも注意しましょう。これは、家庭で排出された使用済み小型家電の場合でも事業活動の場合でも同じです。

小型家電リサイクル法は、消費者にとっては「努力義務」ですが、小型家電が使い終わった後はゴミとして廃棄せず、貴重な資源として役立てていきたいものです。

関連するコラムはこちら

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事