雑品スクラップとは?有害使用済機器の定義と法改正について解説

今回は、雑品スクラップとは何か、雑品スクラップの不適切管理による生活環境への支障、その問題解決のために改正された廃棄物処理法の条文を紹介します。

雑品スクラップとは?

雑品スクラップとは、使用済機器が鉄・非鉄金属・プラスチック等を含む雑多なものと混ぜられ、未解体あるいは未選別状態にあるスクラップのことを言い、金属スクラップと呼ばれることもあります。

この雑品スクラップが、廃棄物処理法に基づく規制を受けずに不適切な管理のもとで保管・処分され、スクラップヤード等での火災発生の原因になり、生活環境上の支障を生じることが問題視されています。

参照環境省 中央環境審議会 循環型社会部会 廃棄物処理制度専門委員会(第6回) 議事録

「有害使用済機器」の定義と法改正

有害使用済機器とは、 “使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生じるおそれがあるもの” を言います。

雑品スクラップが不適切な管理または処分されることで、火災を含む生活環境保全上の支障が生じている問題を受け、2017年6月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」が改正されました。この改正では、「有害使用済機器」という位置づけが明確化し、保管又は処分を行う事業者に、都道府県知事等への届出、処理基準の遵守等を義務付ける制度が設けられました。

有害使用済機器の定義を明確化するため、廃棄物処理法に新たに規定された条文は、以下の通りです。

第十七条の二
使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの(以下この条及び第三十条第六号において「有害使用済機器」という。)の保管又は処分を業として行おうとする者(適正な有害使用済機器の保管を行うことができるものとして環境省令で定める者を除く。次項において「有害使用済機器保管等業者」という。)は、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
引用元: 環境省 新旧対照条文

参照有害使用済機器の保管等に関するガイドライン

有害使用済機器保管等届出制度

有害使用済機器を保管又は処分する事業者は都道府県知事等に届出、処理基準の遵守等を義務付ける制度を「有害使用済機器保管等届出制度」と呼び、2018年4月からスタートしました。

有害使用済機器保管等届出制度の対象品目

この制度での有害使用済機器とは、指定された対象品目32品目の機器のうち、廃棄物ではなく、かつリユースされないものを対象としています。

具体的には、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に指定されている4品目「テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン」に加え、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)に指定されている28品目、合計32品目です。

届出における注意点

新たに有害使用済機器の保管又は処分を事業として行う場合、事業開始10日前までに届出の受理が必要になります。届出義務に違反した者には、30万円以下の罰金が科せられます。

当該ヤードに関わる廃棄物処理法の許可を持っている者等、生活環境保全の観点から適切に扱える場合は届出が不要となります。詳しくは、「有害使用済機器の保管等に関するガイドライン」を確認しましょう。

参照環境省 有害使用済機器保管等届出制度
参照有害使用済機器を保管又は処分する事業者のみなさまへ

まとめ

過去には、海外へのリサイクルを目的として雑品スクラップが輸出され、港湾や船舶で火災を発生させた事例や輸出先の海外で不適正な処理が行われていることが、生活環境上の支障を生じるとして懸念されていました。

この問題に対し、国内では廃棄物処理法の改正により、有害使用済機器の定義を明確化し、責任を持って適切な保管や処分が実行されるよう届出制度が必要になりました。

今まで雑品スクラップの位置づけがあいまいで取締まりが難しかった海外への不適正輸出に対しては、対象となる特定有害廃棄物等の範囲を明確化する等、バーゼル法が改正されました。

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