廃棄物の処理方法「除去土壌」の処理の流れとは?

今回は、除去土壌の処理方法について解説します。

除染で取り除いた土壌の処理方法

除染※で取り除いた土壌を意味する「除去土壌」は、安全性の確保を重視しながら、仮置場または除染措置が行われた現場一時保管されます。仮置場や現場から福島県内にある中間貯蔵施設に搬出された除去土壌は、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外の最終処分施設へ搬出する流れになります。

※除染とは?

除染とは、人の生活空間で受ける放射線量を減らすため、放射性物質汚染廃棄物から放射性物質を除去したり、土で覆ったり、遠ざけたりすることを言います。

参照環境省 除染情報サイト 除染とは何か?
参照環境省 除染情報サイト 除染で取り除いた土壌等の処理の流れ

除去土壌の仮置場での対策と管理

仮置場などに運ばれた除去土壌は、放射性物質が飛散・流出しないよう安全対策の措置を行って適切に管理します。具体的には、以下のような安全対策や管理が行われます。

  • 人が仮置場に近づかないようにするため、また放射線物質から遠ざけるために、居住地域から距離をとったり、を設置します
  • 除去土壌の飛散・流出を防ぎ、雨水の流入や地下水の汚染を防止するため、雨水を通さない遮水シート防水シートの上に、除去土壌を入れたフレキシブルコンテナ大型土のうを置き、さらにその上を防水シートなどで覆います
  • 放射線を遮ること、敷地境界での放射線量を周辺と同程度まで下げるために、上記のフレキシブルコンテナや大型土のうのまわりには、放射線物質で汚染されていない山砂などを入れた遮へい土のうで囲みます
  • 敷地境界での空間線量率を定期的に測定します
  • 地下水を採取して放射性物質濃度を定期的に測定します

福島県内では仮置場などで一時保管後、中間貯蔵施設や仮設焼却施設へ搬出します。搬出が完了した仮置場は、原状回復※後に地権者へ返地します。

※原状回復とは?

仮置場から除去土壌を搬出した後、仮置場として使用した土地は借地したときと同じ状態に復旧されます。仮置場として使用したことで起きた形状変更を合理的な範囲と方法により元に戻し、跡地の利用に支障がないようにします。

参照環境省 除染情報サイト 仮置場について

中間貯蔵施設とは?

仮置場や除染措置が行われた現場で一時的に保管され、処分を待っている状態の福島県内の除去土壌や廃棄物を安全かつ集中的に貯蔵するために「中間貯蔵施設」が設置されました。中間貯蔵施設の整備・運営・管理は国の責任のもと行われ、2015年3月から除去土壌などの搬入が開始されています。2021年度までには、福島県内の仮置場などにある除去土壌や廃棄物の中間貯蔵施設への搬入完了が予定されています。

参照環境省 除去土壌などの中間貯蔵施設について(パンフレット)
参照環境省 除染情報サイト 除去土壌の処分に関する検討チーム会合

まとめ

2019年12月に「除去土壌の処分に関する検討チーム会合」が開かれ、除去土壌の埋立処分に関する議論が行われました。今回は第5回目となり、除去土壌の埋立処分にかかわる実証事業の結果、除去土壌の埋立処分に関する環境省令およびガイドラインにかかわる技術的な留意事項などについて議論されました。

この実証事業は、茨城県東海村と栃木県那須町で当該自治体が保管している除去土壌で実施されました。那須町の実証事業は2019年9月末で終了し、原状回復を実施するまでは一部の埋立後モニタリングを継続、東海村では2020年1月以降もモニタリングを継続予定と発表しています。

このように除去土壌の処分は福島県内だけの問題ではないことを理解し、今後も放射線物質に関する事故を起こさないためにも除去土壌の管理・処分を注意深く見守っていく必要があるでしょう。

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