産業廃棄物の種類「特定有害産業廃棄物」とは?

今回は「特定有害産業廃棄物」について解説します。

特定有害産業廃棄物とは?

特定有害産業廃棄物とは、特別管理産業廃棄物※の分類の1つです。特定有害産業廃棄物に該当する廃棄物は、11種類あります。以下は、その11種類の廃棄物とそれぞれの概要です。

廃PCBなど 廃PCBおよびPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染みこんだ汚泥
PCBが塗布された紙くず
PCBが染みこんだ紙くず
PCBが染みこんだ木くず
PCBが染みこんだ繊維くず
PCBが付着またはPCBが封入されたプラスチック類
PCBが付着またはPCBが封入された金属くず
PCBが付着した陶磁器くず
PCBが付着したがれき類
PCB処理物 「廃PCBなど」または「PCB汚染物」を処分するために処理したものでPCBを含むもの
※「判定基準省令」に定める基準値を参照
廃水銀など ①特定の施設(下表参照)において生じた廃水銀などが該当、ただし水銀使用製品が産業廃棄物となったものに封入された廃水銀などは除く

②水銀もしくはその化合物が含まれている産業廃棄物から回収した廃水銀、
または水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀

指定下水汚泥 「下水道法施行令第13条の4の規定」により指定された汚泥が該当
鉱さい 重金属などを一定の濃度を超えて含む鉱さい
廃石綿など 石綿建材除去事業にかかわるもの、または「大気汚染防止法」の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から発生し、飛散するおそれのあるもの
燃え殻 重金属など・ダイオキシン類を一定の濃度を超えて含む燃え殻
ばいじん 重金属など・1,4-ジオキサン・ダイオキシン類を一定の濃度を超えて含むばいじん
廃油 有機塩素化合物など・1,4-ジオキサンを一定の濃度を超えて含む廃油
汚泥、廃酸または廃アルカリ 重金属など・PCB・有機塩素化合物など・農薬など・1,4-ジオキサン・ダイオキシン類を一定の濃度を超えて含むもの

※特別管理産業廃棄物とは?

特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性のある産業廃棄物のことを言います。また、「特別管理一般廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」をまとめて「特別管理廃棄物」と言います。

特別管理産業廃棄物は人体や環境に被害を及ぼす可能性が高いことから、通常の産業廃棄物に比べ厳しい管理が必要になります。

特別管理産業廃棄物に分類される廃棄物は、上記の「特定有害産業廃棄物」のほかに、廃油・廃酸・廃アルカリ・感染性産業廃棄物があり、これらを処分するために処理したものも特別管理廃棄物として扱います。

排出元の施設が限定されている特定有害産業廃棄物

特定有害産業廃棄物の中でも、以下の廃棄物は排出元の施設が限定されています。排出元の業種や施設の規模、対象となる有害物質の種類などが細かく決められています。

  • 燃え殻
  • ばいじん
  • 廃油
  • 汚泥、廃酸または廃アルカリ

判定基準省令に定める基準値

特定有害産業廃棄物の中でも、以下の廃棄物は「廃棄物処理法施行規則および金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(判定基準省令)」で定める基準に基づき、検出される有害物質の判定基準値が詳しく決められています。

  • PCB処理物
  • 指定下水汚泥
  • 鉱さい
  • 燃え殻
  • ばいじん
  • 廃油
  • 汚泥、廃酸または廃アルカリ

特別管理産業廃棄物の処理責任

特別管理産業廃棄物の処理は、事業者が特別管理産業廃棄物処理基準に則って処理するか、特別管理産業廃棄物を取り扱うことのできる許可を持つ業者に運搬や処分を委託することができます。詳しくは、過去のコラム「特別管理産業廃棄物とは?分類や処理責任について徹底解説」をご参照ください。

参照環境省 特別管理廃棄物規制の概要
参照JWセンター 産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類等
参照環境省 特別管理産業廃棄物の判定基準(廃棄物処理法施行規則第1条の2)

まとめ

PCB(ポリ塩化ビフェニル)」は油状の化学物質で、電気絶縁性が高い・化学的に安定した性質・耐熱性や不燃性に優れるという特徴から、様々な製品に利用されてきました。しかし、脂肪に溶けて蓄積しやすく、人体へ有害性が認められたため現在は製造・輸入が禁止されています。

また、石綿(アスベスト)とは、蛇紋石や角閃石が繊維状になった天然鉱石のことで、日本では安価で入手可能なことから、過去には積極的に建築材料の吹き付け材として使用されていましたが、アスベストによる健康被害が問題となり、例外を除き1975年以降は吹き付けアスベストの使用が禁止されています。このような有害性を踏まえ、一般的な産業廃棄物はもちろんのこと、特定有害産業廃棄物の適正な処理は必要不可欠と言えるでしょう。

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