産業廃棄物の種類、水銀含有ばいじんなど・ 水銀を含む特別管理産業廃棄物とは?

今回は、水銀含有ばいじんなど・ 水銀を含む特別管理産業廃棄物について解説します。

水銀含有ばいじんなど(産業廃棄物)とは?

水銀汚染物とは、水銀またはその化合物に汚染されたものが廃棄物になったものを言います。この水銀汚染物のうち、特別管理産業廃棄物に該当しない産業廃棄物であり、以下の条件に当てはまる産業廃棄物を水銀含有ばいじんなどと言います。

燃え殻・鉱さい・ばいじん・汚泥 水銀含有ばいじんなどの対象:水銀を15mg/kgを超えて含有するもの
水銀回収義務の対象:水銀を1,000mg/kg以上含有するもの
廃酸・廃アルカリ 水銀含有ばいじんなどの対象:水銀を15mg/Lを超えて含有するもの
水銀回収義務の対象:水銀を1,000mg/L以上含有するもの

水銀回収の義務

水銀を上記のような一定以上含む水銀含有ばいじんなどは、処分・再生する時に水銀回収が義務付けられています。水銀回収義務の対象になる水銀の含有量は、水銀化合物に含まれる水銀を含みます。

水銀を含む特別管理産業廃棄物とは?

水銀を含む特別管理産業廃棄物とは、水銀汚染物のうち、以下の条件に該当するものを言い、「特別管理産業廃棄物」として取り扱う必要があります。

鉱さい・ばいじん・汚泥 特別管理産業廃棄物の対象:特定施設※から排出され、水銀の溶出量が0.005mg/Lを超えるもの
水銀回収義務の対象:水銀を1,000mg/kg以上含有するもの
廃酸・廃アルカリ 特別管理産業廃棄物の対象:特定施設から排出され、水銀の含有量が0.05mg/Lを超えるもの
水銀回収義務の対象:水銀を1,000mg/L以上含有するもの

水銀回収の義務

水銀を上記のような一定以上含む場合は、処分・再生する時に水銀回収が義務付けられます。また、水銀回収義務の対象になる水銀の含有量は、水銀化合物に含まれる水銀を含みます。

※特定施設とは?

特定施設は、処理する廃棄物の種類や施設の規模が詳しく決められています。詳しくは、「水銀廃棄物ガイドライン」の下記の表を参照してください。

 

水銀に関する水俣条約(水俣条約)と水銀に関する規則改正

平成25年に熊本で開催された「水銀に関する水俣条約外交会議」で「水銀に関する水俣条約(水俣条約)」が採択され、平成28年に日本が締結、平成29年には締約国数が50か国に達し、平成29年に発効されました。

「水銀に関する水俣条約」は、先進国と途上国が協力して、水銀の供給・使用・排出・廃棄など総合的な対策に取り組むことで、水銀の人為的な排出を削減し、地球的規模の水銀汚染の防止を目指しています。

「水銀に関する水俣条約」による水銀廃棄物の適正な管理確保のため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が平成29年6月9日に公布され、平成29年10月1日施行(適用日)されました。この改正では、水銀使用製品産業廃棄物および水銀含有ばいじんなどについて定義され、適用日からこれらの廃棄物に対して新たな措置が必要となりました。

参照水銀廃棄物の適正処理について、新たな対応が必要になります。
参照水銀廃棄物ガイドライン第2版(平成31年3月)
参照環境省 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布(水銀関係)について
参照環境省 水銀廃棄物関係

まとめ

1956年、熊本県水俣市にある工場で工業廃水を無処理で水俣湾に排出したことで、この工業廃水に含まれていたメチル水銀が魚介類の食物連鎖によって生物濃縮され、汚染された魚介類を摂取した近隣住民が「メチル水銀中毒症」を発症したことが確認されました。これを「水俣病」と呼び、日本の四大公害病の1つとされています。このような水銀による健康被害・環境破壊を繰り返さないために、水銀の正しい知識・処理方法を知っておく必要があります。

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