紙くずとは?紙くずの種類や廃棄量統計と現状

オフィスから出る紙ゴミは産業廃棄物?

オフィスでは書類や資料等、日々の業務で多くの紙が使われており、その分、多くの紙ゴミが発生します。
それらの紙ゴミを一般廃棄物として処理するか、産業廃棄物として処理するかは、ゴミを排出する会社の業種と事業内容によって異なります。

紙くずの定義

産業廃棄物の一種である「紙くず」は大きく分けて以下の2つに分類できます。
(1)業種問わずPCB※が染み込んだ紙くず
(2)以下の特定の業種および事業から生じた紙くず
 ・建設業(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)
 ・パルプ製造業
 ・製紙業
 ・紙加工品製造業
 ・新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)
 ・出版業(印刷出版を行うもの)
 ・製本業
 ・印刷物加工業

つまり、オフィスの事務所などで出る古新聞や古雑誌、ダンボールや牛乳パックの紙ゴミは、基本的には一般廃棄物として処理したり、リサイクルに回すことが可能です。しかし、(1)の通りPCBが塗布もしくは染み込んだ紙くずは、事業者の種類を問わず特定有害産業廃棄物のPCB汚染物に分類されますので注意が必要です。

※PCBとは

PCBとはポリ塩化ビフェニルのことです。
化学的に安定している、燃えにくい、絶縁性が高いという理由で電気機器の絶縁油、感圧複写紙や熱交換器の熱媒体などに幅広く利用されていましたが、PCBの含まれた廃棄物は簡単には分解できず、発がん性などの人の健康および生活環境に被害を生ずるおそれから、昭和47年にはPCBの製造が禁止されました。

紙くずの廃棄量統計と処理状況

平成28年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計によると、紙くずは988千トン(全体の0.3%)となっており、平成27年度は938千トン(全体の0.2%)であったため、前年度と比べ50千トン(0.1%)増加しています。そのうち、再生利用率は77%、中間処理による減量化率は21%、最終処分率は2%となっています。

<参考>環境省 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度実績)について

紙くずの処理・リサイクル方法

産業廃棄物の紙くずには、一般的な古紙や家屋の解体工事によって発生する壁紙など、様々なものがあります。古紙の場合、その多くは製紙原料としてリサイクルされています。製紙原料として再利用できない紙くず(感熱紙など)は、RPF(固形燃料)としてリサイクルされています。その他の処理方法には、焼却処理最終処分場での埋め立てなどがあります。例えば、建設工事で発生した壁紙や著しい汚れが付着したものはリサイクルが難しく、焼却処分されます。また、焼却をせずに最終処分場に埋められるケースもあります。場合によって、焼却や最終処分の前処理として、紙くずを粉砕や切断処理する必要があります。

製紙原料としてのリサイクル方法

古紙の製紙原料へのリサイクル方法は、まず、古紙を水や苛性ソーダなどと一緒にかき混ぜ、繊維状にほぐします。次のステップで、古紙に含まれる異物やインクを除去し、過酸化水素水で古紙を漂白します。これによって得られた繊維が古紙パルプで、再び製紙用の原料として使用できるようになります。一方、不純物が多く含まれている感熱紙やラミネート紙などは製紙原料化することができません。そのような紙くずの場合は、RPFとして固形燃料化されています。

まとめ

紙くずは、排出した会社の業種と事業内容によって産業廃棄物と一般廃棄物の判断が異なります。
例えば、特定業種に該当する建設業の会社から排出された紙くずでも、事務作業から発生した紙ゴミなどは産業廃棄物ではありません。
産業廃棄物かどうかを迷われる際は、まずは自社の業種を確認しましょう。その上で判断が難しい場合は、処理業者等や管轄の自治体に相談しましょう。

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