建設汚泥と土砂の違い・判別方法とは?関連用語の解説

今回は、「建設汚泥」について解説します。

建設汚泥とは?

建設工事にともない副次的に発生する汚泥のことを「建設汚泥」と言います。建設汚泥は、建設工事にかかわる掘削工事にともなって排出され、含水率が高く、粒子が微細泥状※のもので、「無機性汚泥」とも呼ばれます。建設汚泥は、廃棄物処理法の産業廃棄物の取り扱いになります。

泥状とは?

標準仕様ダンプトラックに山積みができず、その上を人が歩けない状態

泥状における土の強度を示す指標

コーン指数がおおむね200kN/m2以下または一軸圧縮強度がおおむね50kN/m2以下

運搬中における状態の変化

掘削物を標準仕様ダンプトラックに積み込んだ際に、流動性のある泥状の状態を呈していない場合でも、運搬中の練り返しによって流動性のある泥状の状態に変化する掘削物は、「土砂」ではなく「汚泥」として扱わなければない点に注意が必要です。

参照環境省 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について

土砂とは?

建設工事にかかわる掘削工事にともなって排出される物の中で、以下のような特徴があり、容易に水分を除去できるものを「土砂」と言います。土砂は廃棄物処理法の廃棄物には該当しません

  • 粒子が直径74ミクロンを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物をずり分離などを行って、泥状の状態ではなく流動性を呈さなくなったもの
  • 有害物質を含まず、生活環境の保全上支障のないもの

参照環境省 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について

建設副産物・建設混合物・建設発生土・発生土とは?

建設汚泥について知る上で、理解しておきたい関連用語についてまとめました。

建設工事にともない副次的に得られたすべての物品を「建設副産物」と言います。この建設副産物のうち廃棄物処理法で規定する廃棄物に該当するものが「建設廃棄物」になります。建設廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物の両方を含みます。


建設廃棄物の分類

出典:東京都環境局 建設廃棄物とは?

建設副産物

建設副産物とは、建設工事にともなって副次的に得られた全ての物品のことを言います。

建設混合物

建設混合物とは、建設工事から発生する廃棄物で、安定型産業廃棄物それ以外の廃棄物が混在しています。

建設発生土

建設発生土とは、建設工事から搬出される土砂のことで、以下のような特徴があります。また、建設発生土は廃棄物処理法の廃棄物には該当しないことに対し、建設工事で発生する「建設汚泥」は廃棄物処理法の産業廃棄物に該当する点が大きな違いです。

  1. 土砂および専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
  2. 港湾、河川などの浚渫にともなって発生する土砂(浚渫土/読み方:しゅんせつど)
  3. その他これに類するもの

発生土

土砂と汚泥をまとめて「発生土」と呼びます。

参照東京都環境局 建設廃棄物とは?

建設汚泥・土砂の判断はいつするか?

土砂か汚泥かどうかの判断は、掘削工事にともなって排出された時点で行います。掘削工事とは、水を利用して地山を掘削する工法では、発生した掘削物を元の土砂と水に分離するという工程までを言います。この工程中に排出された時、土砂か汚泥かどうかの判断を行います。

ただし、掘削物を標準仕様ダンプトラックに積み込んだ際に泥状ではない掘削物でも、運搬中における練り返しによって泥状になるものは「汚泥」になります。以下は、代表的掘削工法の4つの例です。

参照環境省 建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方について
参照建設汚泥の再生利用に関するガイドライン

まとめ

国土交通省では平成18年6月に「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」を策定しました。このガイドラインでは、建設汚泥の再生利用の促進・最終処分場への搬出量の削減・不適正処理の防止を図ることを目的とし、建設汚泥の処理に関する基本方針や具体的実施手順などを示しています。

ガイドラインが策定された背景には、建設汚泥の低い再資源化率、最終処分場の残余容量の逼迫、建設廃棄物の不法投棄問題があります。これらの課題解決のためにも、建設汚泥について正しい知識を身につけ、適正な処理を行うことが求められています。

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