レジ袋有料化開始、対象者や違反した場合の罰則について徹底解説

今回は、レジ袋有料化の対象となる事業者や違反した場合の罰則についてまとめました。

レジ袋有料化が義務化された背景と目的

海洋ごみ問題地球温暖化など地球規模の課題が一層深刻さを増し、プラスチック資源の有効活用が求められていることを背景に、2019年5月に日本政府は「プラスチック資源循環戦略」を制定しました。

その戦略の取り組みの一環として「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止など)」があります。事業者が商品販売の際にレジ袋を有料化することで、プラスチック製買い物袋の排出抑制を促進し、消費者のライフスタイル変革を促すことを目的としています。義務化する前から、有料化を導入するスーパーなどもありましたが、2020年7月1日からは対象となる全国の小売業でレジ袋有料化始まりました。

参照経済産業省 レジ袋有料化

レジ袋有料化の対象になる事業者・小売業者とは?

レジ袋有料化の対象になるのは、プラスチック製買物袋を扱うすべての小売業の事業者です。

具体的には、容器包装リサイクル法に基づき、事業で容器包装を使用する者であり、容器包装の過剰使用の抑制・その他の容器包装の使用の合理化がとくに必要な業種に属する事業である「指定容器包装利用事業者」が対象とされています。

指定容器包装利用事業者とは?

指定容器包装利用事業者とは、指定される小売業に属する事業を行う者のことで、以下のような小売を営む事業者のことです。

  • 各種商品小売業
  • 織物、衣服、身の回り品小売業
  • 飲食料品小売業
  • 自動車部分品、附属品小売業
  • 家具、じゅう器、機械器具小売業
  • 医薬品、化粧品小売業
  • 書籍、文房具小売業
  • スポーツ用品、がん具、娯楽用品、楽器小売業
  • たばこ、喫煙具専門小売業

主体業務が小売業ではない場合の注意点

製造業やサービス業など、上記のような小売業が主体業務ではない場合※でも、上記の小売業を事業の一部として行っている場合は、その小売業で容器包装を使用している範囲において有料化の対象になるため注意が必要です。

小売業が主体業務ではない場合とは、過去1年間の収入額または販売額の多いものが小売業ではないことを指します。

参照FAQ(対象業種・事業者)

プラスチック製買物袋の価格設定とは?

そもそも、有料化とはプラスチック製買物袋の提供で一定の対価を徴収すること言います。有料化義務化前から一部の小売業などで実施していた各店舗独自のルールであっても、以下のような利益供与になることは有料化とは言えません。

  • 袋を提供しないかわりに、商品価格の値引きを行う
  • 袋を提供しないかわりに、ポイントを付与する

プラスチック製買物袋の価格は、各事業者が設定します。プラスチック製買物袋有料化実施ガイドラインでは、上記のサンプル18社による「プラスチック製買物袋の価格と辞退率との関係についてのグラフ」と共に、袋1枚当たり2~5円で提供された先行事例が紹介されています。

プラスチック製買物袋の価格設定における注意点

  • 袋の1枚当たりの価格が1円未満の価格設定は有料化には当たらない
  • 1枚ごとに価格設定を行う(複数の袋購入にあたり、うち1枚を無料提供といった価格設定は有料化には当たらない)
  • 袋の要否について、オペレーション(店員による口頭確認など)に支障をきたす場合、「袋の価格を明示、袋と商品の合計価格を提示し、消費者が袋を辞退した場合は袋分の価格を引いた金額を徴収すること」をメニューに記載する

袋の売上の使途とは?

袋の売上の使途は、各事業者が設定します。消費者への理解を促進するために、各事業者が自主的に売上の活用情報を発信することが推奨されています。有料化義務化前からレジ袋を有料化した企業では、袋の売上を環境保全事業・社会貢献活動に寄付している先行事例もあります。

参照プラスチック製買物袋有料化説明会での主なご質問とその回答について

違反した場合の罰則とは?

すべての小売事業者を対象に、主務大臣が「容器包装廃棄物の排出の抑制を推進するため必要がある」と認める場合、排出抑制の促進について必要な指導・助言を行うことができます。(関連する法律:「容器包装リサイクル法」第7条の5)

違反が認められた場合の罰則の流れ

  1. 容器包装多量利用事業者※は定期報告の対象になる(第7条の6)
  2. 主務大臣が「事業者の排出抑制の促進の状況が著しく不十分」と認めたときは、勧告・公表・命令が行われる(第7条の7)
  3. 命令に違反した者は罰則の対象になる(第46条の2)
    容器包装リサイクル法の第46条の2には「第7条の7第3項による命令に違反した者は50万円以下の罰金」という旨の記述があります。

※容器包装多量利用事業者とは?

容器包装多量利用事業者とは、前年度で使用した小売業用途の容器包装量(紙・段ボール・プラスチック製容器包装・その他の容器包装の合計)が50トン以上である指定容器包装利用事業者のことを言います。

参照経済産業省 容器包装リサイクル法
参照プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン

まとめ

レジ袋有料化は、消費者のライフスタイル変革を促すことを目的としています。有料化になることで袋の過剰な使用に気をつけるだけでなく、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題についても普段の生活の中で何をすべきか考え、ライフスタイルを見直すきっかけにしていきたいものです。

過去のレジ袋有料化に関するコラムはこちら

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