令和2年、グリーン購入法に基づく「環境物品などの調達の推進に関する基本方針」の変更が閣議決定され、特定調達品目数は22分野275品目になりました。前回に続き、今回は「オフィス家具共通基準の見直し」と「個別の判断基準などの見直し37品目」の変更点とその背景についてまとめました。
参照環境省「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の変更及び意見募集(パブリックコメント)の結果について
目次
- 1 オフィス家具共通基準の見直し
- 2 個別の判断基準などの見直し37品目
- 2.1 「画像機器など」に属する判断基準見直し品目
- 2.2 「電子計算機など」に属する判断基準見直し品目
- 2.3 「オフィス機器など」に属する判断基準見直し品目
- 2.4 「移動電話など」に属する判断基準見直し品目
- 2.5 「家電製品」に属する判断基準見直し品目
- 2.6 「エアコンディショナーなど」に属する判断基準見直し品目
- 2.7 「温水器など」に属する判断基準見直し品目
- 2.8 「照明」に属する判断基準見直し品目
- 2.9 「自動車など」に属する判断基準見直し品目
- 2.10 「インテリア・寝装寝具」に属する判断基準見直し品目
- 2.11 「公共工事」に属する判断基準見直し品目
- 2.12 「役務」に属する判断基準見直し品目
- 3 まとめ
オフィス家具共通基準の見直し
分野「オフィス家具など」に属する品目共通の基準で、今まで「日本工業規格」と表記していたものが「JIS」に変更されました。この変更により分野「オフィス家具など」の属する品目(棚、収納用什器(大部分の材料が金属類のもの)、いす、机、棚、収納用什器、ローパーティション、コート、ハンガー、傘立て、掲示板、黒板、ホワイトボード(木質のもの))、そして2サイクルエンジン油(分野:自動車など)、ベッドフレーム(分野:インテリア・寝装寝具)においても同様の見直しが行われました。
日本工業規格からJISへ表記変更の背景
令和元年7月「工業標準化法」において、標準化の対象を従来の工業品に加え、データ・サービス・経営管理などを追加して「産業標準化法」に改正し、「日本工業規格(JIS)」が「日本産業規格(JIS)」に変更された結果、今回の見直しが行われました。
JIS規格改定
平成29年に行われた「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」の第8回締約国会議にて、DecaBDE(デカブロモジフェニルエーテル)が同条約の附属書A(廃絶)に追加されました。日本ではDecaBDE は「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」で製造・輸入および使用が禁止されています。
このような背景から、JIS C 0950(電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法)を改正、該当する特定調達品目においても規格の変更が行われ、JIS C 0950の対象となる機器以外も化学物質管理の観点から判断の基準などを設定することになり、以下の特定調達品目が見直されました。( )のないものは、「特定の化学物質の含有率基準値」が判断の基準として設定されています。
「画像機器など」に属する該当品目
- コピー機
- 複合機
- 拡張性のあるデジタルコピー機
- プリンタ
- プリンタ複合機
- ファクシミリ
- スキャナ
- プロジェクタ
「電子計算機など」に属する該当品目
- 電子計算機
- ディスプレイ
- 磁気ディスク装置(配慮事項として設定)
「オフィス機器など」に属する該当品目
- 電子式卓上計算機
- シュレッダー(配慮事項として設定)
- デジタル印刷機(配慮事項として設定)
「移動電話など」に属する該当品目
- 携帯電話
- PHS
- スマートフォン
「家電製品」に属する該当品目
- 電気冷蔵庫
- 電気冷凍冷蔵庫
- テレビジョン受信機
- 電子レンジ
「エアコンディショナーなど」に属する該当品目
- エアコンディショナー
「照明」に属する該当品目
- LED照明器具
- LEDを光源とした内照式表示灯
「設備」に属する該当品目
- 太陽光発電システム(特定の化学物質含有の二次電池に係る配慮事項として設定)
「役務」に属する該当品目
- 飲料自動販売機設置
- 印刷(インキの化学安全性に係る判断の基準として設定)
- 印刷機能等提供業務(導入する機器の判断の基準として設定)
個別の判断基準などの見直し37品目
個別の判断基準の見直しが行われた37品目の変更内容は、地球温暖化防止にかかわる基準、エネルギー消費効率にかかわる基準、潜熱回収型ガス・石油温水機器のエネルギー消費効率にかかわる基準、再生プラスチックの使用にかかわる基準、再生PET樹脂由来のポリエステル繊維の使用にかかわる基準などです。以下が見直された特定調達品目です。
「画像機器など」に属する判断基準見直し品目
- コピー機
- 複合機
- 拡張性のあるデジタルコピー機
- プリンタ
- プリンタ複合機
- ファクシミリ
- スキャナ
- プロジェクタ
「電子計算機など」に属する判断基準見直し品目
- 電子計算機
- 磁気ディスク装置 ディスプレイ
「オフィス機器など」に属する判断基準見直し品目
- シュレッダー
- デジタル印刷機
- 電子式卓上計算機
- 一次電池又は小形充電式電池
「移動電話など」に属する判断基準見直し品目
- 携帯電話
- PHS
- スマートフォン
「家電製品」に属する判断基準見直し品目
- 電気冷蔵庫
- 電気冷凍冷蔵庫
- テレビジョン受信機
- 電子レンジ
「エアコンディショナーなど」に属する判断基準見直し品目
- エアコンディショナー
「温水器など」に属する判断基準見直し品目
- ガス温水機器
- 石油温水機器
「照明」に属する判断基準見直し品目
- LED照明器具
- LEDを光源とした内照式表示灯
「自動車など」に属する判断基準見直し品目
- 2サイクルエンジン油
「インテリア・寝装寝具」に属する判断基準見直し品目
- ふとん
- ベットフレーム
「公共工事」に属する判断基準見直し品目
- 断熱サッシ・ドア 排水・通気用再生硬質ポリ塩化ビニル管
「役務」に属する判断基準見直し品目
- 省エネルギー診断
- 印刷
- 植栽管理
- クリーニング
- 飲料自動販売機設置
参照環境物品等の調達の推進に関する基本方針の変更について
参照グリーン購入法基本方針(令和2年2月)
参照特定調達品目及び判断の基準等の改定一覧
まとめ
見直しの主な要因は、「オフィス家具共通基準の見直し」はJISに関する表記や規格が変更されたこと、「個別の判断基準などの見直し37品目」は地球温暖化や再生プラスチックの使用、エネルギー消費効率など環境問題の対策を考慮した見直しとなりました。
「新規追加1品目プラスチック製ごみ袋」、「削除2品目ETC対応車載器、カーナビゲーションシステム」、「文具共通基準の見直し」に関する前編もまとめてご参照ください。