
グリーン購入法で、とくに重点的に調達を推進すべき環境物品を「特定調達品目」として定めています。特定調達品目やその判断の基準などは毎年度定期的な見直しが行われています。
令和2年2月7日、グリーン購入法に基づく「環境物品などの調達の推進に関する基本方針」の変更が閣議決定され、特定調達品目数は22分野275品目になりました。今回は下記の1~3の変更内容やその背景についてまとめました。
目次
基本方針の主な変更点
- 新規追加1品目「プラスチック製ごみ袋」
- 削除2品目「ETC対応車載器」「カーナビゲーションシステム」
- 「文具」共通基準の見直し
- 「オフィス家具」共通基準の見直し
- 個別の判断基準などの見直し37品目
参照環境省「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の変更及び意見募集(パブリックコメント)の結果について
新規追加1品目「プラスチック製ごみ袋」
分野「ごみ袋など」の特定調達品目「プラスチック製ごみ袋など」が追加されました。判断の基準には、植物を原料とするプラスチックまたは再生プラスチックの使用にかかわる基準が設定されています。
「プラスチック製ごみ袋」が追加された背景
世界的に注目されている海洋プラスチックごみ問題などの解決に向けて、令和元年5月に「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。
このプラスチック資源循環戦略におけるマイルストーン(下記参照)達成に向けた施策として、可燃ごみ用指定収集袋などの燃やさざるを得ないプラスチックにおけるバイオマスプラスチックの使用が明記されているため、グリーン購入法は環境用品などの率先的な公共調達を推進していることから、再生材・バイオプラスチックの需要の拡大、ごみ排出抑制による海洋プラスチック対策への貢献が期待されています。
「プラスチック資源循環戦略」におけるマイルストーン
- リユース・リサイクル可能なデザインに(2025年までに達成)
- ワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制(2030年までに達成)
- 容器包装の6割をリユース・リサイクル(2030年までに達成)
- 再生利用を倍増(2030年までに達成)
- バイオマスプラスチックを約200万トン導入(2030年までに達成)
- 使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用(2035年までに達成)
削除2品目「ETC対応車載器」「カーナビゲーションシステム」
分野「自動車など」に属する特定調達品目の中から「ETC対応車載器」と「カーナビゲーションシステム」の2品目が削除されました。どちらも、平成14年に導入促進を目的に追加されましたが、現在のETC利用率・利用台数の大幅な向上、カーナビゲーションシステムの普及が拡大したことを受けて、導入促進という本来の目的は達成したと見なし、削除されることになりました。
文具共通基準の見直し
分野「文房具類」に属する文房具共通の判断基準が見直されました。新たな判断基準として、再生プラスチック40%以上または植物を原料とするプラスチックの使用が追記され、配慮事項として製品の包装や梱包に再生プラスチックまたは植物由来プラスチックを可能な限り使用する旨が追加されました。
参照資料2:環境物品等の調達の推進に関する基本方針の変更について
参照グリーン購入法基本方針(令和2年2月)
参照特定調達品目及び判断の基準等の改定一覧
まとめ
令和2年の「特定調達品目」見直しの背景の一つとして、現在地球規模で対策が求められている海洋プラスチックごみ問題があります。日常生活の中では、レストランやカフェでプラスチックストローの使用が廃止されたり、コンビニエンスストアやスーパーなどでは7月1日から商品購入時のビニール袋の有料化がスタートするなど、海洋プラスチック問題を背景とした対策が様々なところで実行され始め、プラスチックごみ問題がいかに身近な問題であるかを考えさせられます。
「オフィス家具共通基準の見直し」と「個別の判断基準などの見直し37品目」に関する徹底解説は、次回につづきます。