今回は「フロン排出抑制法」の改正の要点についてまとめます。
目次
フロン排出抑制法の改正と施行
2019年6月に改正された「フロン排出抑制法(正式名称:フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律)」は、2020年4月1日に施行されました。10年以上低迷していたフロン類の廃棄時回収率を向上させるため、機器廃棄時にフロン回収を行わないという違反に対して直接罰の導入、抜本的な対策を講じるといった改正が行われました。
以下は、対象となる第⼀種特定製品※のフロン回収に携わる機器管理者、建設・解体業者、廃棄物・リサイクル業者の3つの分野における改正ポイントをまとめました。
※第⼀種特定製品とは?
業務⽤の空調機器(エアコンディショナー)や冷凍冷蔵機器で、冷媒としてフロン類が使用しているものを「第⼀種特定製品」といいます。フロン類を回収後も第⼀種特定製品として取り扱います。
また、業務⽤とは製造メーカーが業務⽤として製造・輸入している機器のことです。
参照【本編】フロンを取り巻く動向と改正フロン排出法の概要(建物解体業者及び廃棄物・リサイクル業者向け)
機器管理者向け改正ポイント
- 機器廃棄時には必ず充塡回収業者にフロン類の回収を依頼(違反は50万円以下の罰⾦)
- 機器点検の記録は、機器設置から廃棄後も3年間保存
- 廃棄物・リサイクル業者に機器を引渡す際に、「引取証明書」の写しを作成、機器と一緒に渡す
- 解体工事を実施する場合は、元請業者から事前説明された書面を3年間保存
※管理者とは?
ここでの「管理者」とは、製品の所有権を持つ企業・法人のことです。例外として契約上、保守・修繕の責務を所有者以外が請け負うことになっている場合には、その請け負っている企業・法人が管理者になります。
参照機器管理者の皆様へ
参照フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
建設・解体業者向け改正ポイント
- 解体する建物において業務⽤のエアコンや冷凍冷蔵機器の有無を事前確認し、その結果を書⾯で発注者に説明、その書⾯の写しを3年間保存
- フロン類の回収を充塡回収業者※に依頼して回収されていることを確認し、廃棄物・リサイクル業者に機器を引渡す際に、引取証明書などによりフロン回収済みであると確認できない場合の引き取りは禁止(違反は50万円以下の罰⾦)
- フロン類を未回収のままでの機器廃棄は直接罰対象(違反は50万円以下の罰⾦)
- フロン類をみだりに放出した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰⾦
- 特定解体⼯事元請業者は、都道府県の指導監督(報告徴収・立入検査など)の対象になる
※充塡回収業者とは?
都道府県に登録された第一種フロン類充塡回収業者のことです。フロン類を回収して引取証明書を発行する役割を担っています。充塡回収業登録を受けている廃棄物・リサイクル業者の場合は、フロン類回収とあわせて機器の引取りが可能となります。
廃棄物・リサイクル業者向け改正ポイント
- フロン類の回収が確認できない第一種特定製品の引取りは禁止(違反は50万円以下の罰金)
- 以下の場合での引取りが可能
- ⾃らフロン類を回収する場合
- 「引取証明書」の写しを受け取った場合
- 充塡回収業者へのフロン類の引渡しを委託された場合
- フロン類が充塡されていないことを示す「確認証明書」の写しを受け取った場合
まとめ
フロンが大気中に放出されてオゾン層を破壊することで、1980年代以降オゾンホールが急激に拡大しました。現在は拡大傾向にはないものの、地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスとして、世界各国で厳しい目が向けられています。
地球を取り巻く大きな問題ですが、その原因はわたしたちの身近なところにも存在する機器に使用されていることを認識し、機器の廃棄時、解体工事の際は、管理者も含めフロン回収に注意しなければなりません。