地震や水害、台風などの自然災害によって発生した廃棄物「災害廃棄物」について解説します。
目次
災害廃棄物とは?
災害廃棄物とは、地震・水害・台風などの自然災害によって発生した廃棄物を言います。災害発生直後から発生する破損した家や家具類に加え、避難所ごみ、仮設トイレのし尿、片付けごみなど様々な廃棄物が発生します。また、災害廃棄物は一般廃棄物に区分され、処理責任は市町村にあります。
参照災害廃棄物対策の基礎~過去の教訓に学ぶ~ 平成26年3月31日
災害廃棄物の混合物の種類
災害廃棄物における「混合物」とは、災害によって生じたさまざまな種類の災害廃棄物が混ざりあった状態にあるものを言います。
可燃系混合物
紙、繊維、木質廃材、廃プラスチック、紙類、繊維などの可燃物が比較的多く含まれるものを可燃系混合物と呼びます。未処理のまま放置することで、腐敗や発酵が起こり、内部温度が上昇して火災の恐れがあることから、迅速な選別や処理が必要とされます。
不燃系混合物
瓦、煉瓦、がれき類、ガラス、陶磁器などの不燃物が比較的多く含まれるものを不燃系混合物と呼びます。
木質系混合物
以下のような木質廃材を主体とするもの
- 住居、倉庫などの木造建物の解体時に発生したもの
- 津波による破損や流出した柱、梁材などの廃木材
- 内装建材
- 不用家具など
コンクリート系混合物
コンクリート破片やコンクリート塊を主体とするものをコンクリート系混合物と呼び、以下のような状況で発生します。
- 鉄筋コンクリート構造の建物や構造物などの解体時に発生
- 住宅の基礎やブロック塀の撤去の際に発生
金属系混合物
鉄骨構造の建物・構造物等の解体の際に発生し、鋼材が主体のものを金属系混合物と呼びます。
- 鉄骨
- 鉄筋
- 機械類
- 金属サッシ
- シャッター
- 「家電リサイクル品目」を除く家電製品など
土砂系混合物
土砂崩れの土砂、津波及び洪水などにより堆積した土砂や砂泥などを主体とするものを土砂系混合物と呼びます。被災地域によって混入物に違いが生じることから、地域によってその組成や性状が異なります。
津波堆積物
津波で海底から巻き上げられ、陸上に堆積した土砂や泥状物などのことを津波堆積物と呼びます。
選別後の災害廃棄物の種類
混合物のような状態にある災害廃棄物であっても、分別または選別することで、以下のような再生資源として再利用したり、焼却処分が可能な状態になります。
- 可燃物
- 不燃物
- 木くず
- 金属くず
- コンクリートがら
- 分別土(分別土砂、選別土砂、津波堆積土とも言う)
- ふるい下残渣
- 再生資材
- 再生砕石
災害廃棄物の処理の流れ
災害廃棄物の処理の主な流れとして、①被災現場(被災地域)、②一次仮置場、③二次仮置場、④処理・処分先に分けられます。災害廃棄物は市町村に処理責任があることを考慮し、各市町村は平時から廃棄物処理に携わる事務組合や民間事業者、庁内の他部局、国・県・近隣自治体、協定の締結先、専門機関などとの協議・連携が必要となります。
まとめ
災害はいつ起こるか予測できないことから、事前に災害発生時の対処方法を確認しておく必要があります。
災害廃棄物処理の三原則は、安全・スピード・費用です。被災した人の衛生環境や安全を第一に考え、廃棄物にアスベストや危険物、有害物などが含まれる場合は安全に処理しなくてはなりません。廃棄物の腐敗や発酵による周辺環境への影響を考慮し、火災発生を未然に防止するために迅速な処理も重要です。
さらに、平時から効率的な処理・リサイクル方法に関する情報を集め災害対策を万全にしておくことで、処理に関する経済的な負担を減らすとともに、安全性やスピードも高めることにつながります。
過去の「金属くず」に関するコラム
過去の「木くず」に関するコラム
過去の「再生砕石・がれき類」に関するコラム