PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処分方法は?期間や場所、注意点について徹底解説

今回は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処分について、期間や場所などをまとめます。

PCB廃棄物は期間内の処分が義務付けられている

PCB廃棄物を保管する事業者は、PCB廃棄物の期間内での処分が義務づけられています。使用中のPCB使用製品であっても、使用を中止し、期間内で処分しなければなりません。

処分には、国が日本環境安全事業株式会社(現在は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO))を活用して整備した全国5箇所の拠点的広域処理施設(北海道、東京、豊田、大阪、北九州)があり、それぞれの施設ごとに定められた処分期限があります。

参照ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて

高濃度PCB廃棄物の処理期限と処理施設

高濃度PCB廃棄物の処理期限と処理施設は下記の通りです。

処理施設 内容 処理期限
北海道(室蘭)・東京事業エリア 安定器および汚染物など 令和5年3月31日
北海道(室蘭)事業エリア 変圧器、コンデンサーなど 令和4年3月31日
東京事業エリア 変圧器、コンデンサーなど 令和4年3月31日
豊田事業エリア 変圧器、コンデンサーなど 令和4年3月31日
大阪事業エリア 変圧器、コンデンサーなど 令和3年3月31日
北九州・大阪・豊田事業エリア 安定器および汚染物など 令和3年3月31日
北九州事業エリア 変圧器、コンデンサーなど 【終了】平成30年3月31日

低濃度PCB廃棄物の処理期限

低濃度PCB廃棄物の処理期限は令和9年3月31日と決められています。

PCB廃棄物の分類

PCB廃棄物は、PCB濃度によって高濃度PCB廃棄物低濃度PCB廃棄物の2種類に分類され、この種類によって処理施設が異なります。

高濃度PCB廃棄物は全国に5箇所ある拠点的広域処理施設、低濃度PCB廃棄物は環境大臣が認定した無害化処理認定施設および都道府県知事などが許可した施設で処理をします。


参照ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて

PCBは昭和47年にPCB製品の製造・輸入が禁止される以前は、不燃性や電気絶縁性が高いといった性質によりさまざまな電気機器に利用されていました。PCBを利用した代表的な電気機器として変圧器・コンデンサー・安定器があります。

参照ご注意 古い工場やビルをお持ちの皆様へ!(ポスター)

変圧器・コンデンサーの場合のPCB含有製品かの判別方法

国内製造時期と高濃度PCB含有の有無

昭和28年から昭和47年に国内製造された製品は、絶縁油にPCBが使用されていることがあります。高濃度PCBを含有する機器は銘板での確認が可能です。しかし、銘板確認の際に、通電中の変圧器・コンデンサーに近づくと感電の危険があるため、必ず電気保安技術者に依頼しましょう。

製品の詳細については、各製造会社に問い合わせる、または一般社団法人日本電機工業会のホームページで確認しましょう。

国内製造時期と低濃度PCB含有の有無

平成2年までに国内で製造した電気機器は低濃度PCB廃棄物に該当する可能性があります。

低濃度PCB含有の有無とメンテナンスの有無

平成6年以降製造の変圧器 絶縁油に関わる部分のメンテナンスが可能な変圧器は、平成6年以降の製造であり、絶縁油に関わる部分のメンテナンスが行われてない場合は汚染の可能性はないとされています。
平成3年以降製造のコンデンサー 絶縁油の入替やメンテナンスができないコンデンサーは、平成3年以降の製造であれば汚染の可能性はないとされています。

製造時期が該当する機器のPCB濃度測定と注意

製造時期を確認し、変圧器の場合は平成6年、コンデンサーの場合は平成3年より前に製造されたものは、各機器から絶縁油を採取してPCB濃度を測定してPCB汚染の有無を確認します。測定する際、使用中の封じ切りの機器(コンデンサー)を穿孔すると使用できなくなる点に注意が必要です。

参照一般社団法人 日本電機工業会

安定器の場合のPCB含有製品かの判別方法

国内製造時期

昭和32年1月から昭和47年8月に国内製造された照明器具の安定器は、PCBが使用されたものがあります。しかし、一般家庭用の蛍光灯の安定器にはPCBは使用されていません。

製造時期の確認方法と注意点

安定器に貼られている銘板には、メーカー、型式・種別、性能、製造年月などの情報が記載されています。詳細については、各製造会社に問い合わせる、または一般社団法人日本照明工業会のホームページで確認しましょう。PCB が含有されていないと判明した場合でも、耐用年数を過ぎている照明器具は速やかに交換して各自治体の指導にしたがい廃棄処分しましょう。

事故防止ための経年劣化への配慮と全数調査の必要性

製造年月から40年以上経過したPCB使用安定器の場合は、劣化によって破裂しPCBが漏洩するという事故が起きています。漏洩した PCBが人体にかかる危険を踏まえ、昭和52年3月までに建築や改修された建物の場合は、古い安定器の使用の有無をすぐに確認し、該当する場合は交換が必要です。

過去の調査によりPCBを使用した安定器がないと認められた建物であっても事故が発生しています。これはサンプル調査をしたことが原因と考えられていることから、全数調査が必要です。

参照一般社団法人日本電機工業会
参照JESCO

PCB汚染廃棄物の測定と分類

PCBが付着・染み込んでいる汚染物は、PCB濃度の測定によりPCB廃棄物であるかどうかの判断ができます。測定によって、PCBが検出さた場合は「特別管理産業廃棄物」に分類されてPCB廃棄物となります。PCB汚染物でない場合は、「産業廃棄物」に分類されます。

参照環境省 ポリ塩 化ビフェニ ル(PCB)使 用 製 品及び PCB廃棄物の期限内処理に向けて

まとめ

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」よって、変圧器・コンデンサー・安定器などのPCB使用製品は、処分期間内処分しなければなりません。

全国で5箇所ある高濃度PCB廃棄物の処理施設のうちの九州事業エリアの変圧器・コンデンサーの処分期間は平成30年3月31日で、すでに終了しています。他の施設の処分期間も間近に迫っています。サンプル調査による未把握のPCB含有の安定器の存在を踏まえ、古い建物は確認してみましょう。

高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違いはこちら

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事