産業廃棄物を処分する時に必要なマニフェストは仕組みが複雑!図でわかりやすく流れを紹介

産業廃棄物を捨てるためには多くのステップが必要です。

多くのステップを経て管理する理由は、人や自然に有害な影響を与える事、不法投棄をなくす、などの目的があります。

その仕組みは法律で定められており、ルールを守らなかった場合は厳重注意から重い処罰まで様々な罰則があります。

ここでは、一般的な流れを紹介致します。

産業廃棄物の処分に使用されるマニフェスト

産業廃棄物を出す時には「マニフェスト」と呼ばれる書類が必要です。

そしてマニフェストと産業廃棄物は常に同じ状態である必要があります

 

大元の排出場所から発生した産業廃棄物を管理するマニフェストを「1次マニフェスト」といいます。

中間処分業者が新たに別の業者に委託する場合は、中間処分業者が排出事業者となり新しくマニフェストを作ります。

そのマニフェストは「2次マニフェスト」と呼ばれます。

産業廃棄物のマニフェストの流れについて

マニフェストの流れとしては全部で5段階に分ける事ができます。

  1. マニフェストの発行
  2. 産業廃棄物の運搬
  3. 産業廃棄物の処分
  4. 産業廃棄物の最終処分
  5. 返送されたマニフェストの確認

1. マニフェストの発行

マニフェストの発行は「作成」と「交付」に分かれます。

マニフェストの作成

何も書いていないマニフェストに、排出場所や産業廃棄物の種類、重量などの記入を行います。

排出事業者がマニフェスト作成を委託する事は明確には禁止されていませんが、行う際は情報を共有し、両者の確認をしっかりとる必要があります。

参照:排出事業者がマニフェストの交付等の事務を代行してもらえるのはどういう場合ですか?/九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会

マニフェストの交付

排出事業者(産業廃棄物の責任者)が、排出事業者欄にサインを行います。

交付は委託する事ができません。

排出事業者の誰かが必ず行う必要があります。

 

発行を委託している場合は、マニフェストの作成を委託された業者が、マニフェストの左上、【交付担当者 氏名】の部分を空欄で排出場所に持って行き、排出事業者の担当者にサインをもらいます。

委託している場合でも、記入されている産業廃棄物の最終的な管理はこのサインをした排出事業者が担います。

2. 産業廃棄物の運搬

収集運搬
A票を排出事業者に控えとして渡し、B票以降を受け取った収集運搬業者は、産業廃棄物とともにマニフェストを中間処分業者に運びます。

B1票は収集運搬業者で保管、B2票は運搬後、排出事業者に送ります。

3. 産業廃棄物の処分

中間処理業者

中間処分業者側では、中間処理と呼ばれる作業(焼却、破砕、溶解、脱水、選別など)を行い、作業内容をマニフェストに書き込み、責任者のサインをします。

中間処分業者は、C1票を保管、運搬業者にC2票を送付、もしくはその場で渡し、排出事業者にD票を送付します。

中間処分業者に渡った時点で最終処分が完了する場合は、E票も排出事業者に送ることができ、マニフェストは役目をはたします。

4. 最終処分

最終処分

中間処分業者ですべての処理が終わらなかった場合は、2次マニフェストを発行し、他の業者へ処分を依頼します。

2次マニフェストのE票が戻ってきたら、1次マニフェストのE票の項目、【照合・確認】に処分終了年月日を記載し、最初の排出事業者に返送します。

この【照合・確認】に関する日付は、最終処理が終わった日付を記載します。

法律上では、処分をした日ではなくでも、説明がつく日付であれば問題ありません。

5. マニフェストの最終確認

A票に書かれた情報と返送されてきたマニフェスト(B1票D票E票)をもとに整合性のチェックを行います。

各委託業者において保存するB票からC票は、排出事業者への報告、作業の確認のために必要となる書類です。

不明点があった場合には時系列で状況を追う必要があり、掲示を求められる事もあるのでしっかりと記載し、残しておく必要があります。

そのようなトラブルを未然に防ぐため、マニフェストの記載ルールについて厳しく取り決めている会社や、別帳票で管理する会社もあります。

マニフェストの法的記載事項とは

マニフェストには埋める項目も多く、全てを記入しなければいけないと思いがちです。

ですが、廃棄物処理法で定められている項目さえ埋まっていれば法律上、問題ありません。

法的に決められている項目は法的記載事項と呼び、法的記載事項の項目は以下の通りです。

1 管理票の交付年月日及び交付番号
2 氏名又は名称及び住所
3 産業廃棄物を排出した事業場の名称及び所在地
4 管理票の交付を担当した者の氏名
5 運搬又は処分を受託した者の住所
6 運搬先の事業場の名称及び所在地並びに運搬を受託した者が産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地
7 産業廃棄物の荷姿
8 当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地
9 中間処理業者(次号に規定する場合を除く。)にあつては、交付又は回付された当該産業廃棄物に係る管理票を交付した者の氏名又は名称及び管理票の交付番号
10 中間処理業者(当該産業廃棄物に係る処分を委託した者が電子情報処理組織使用事業者である場合に限る。)にあつては、当該産業廃棄物に係る処分を委託した者の氏名又は名称及び第八条の三十一
の二第三号に規定する登録番号
11 当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その数量

参照:マニフェストの交付/東京都環境局

この法的記載事項をもとに、各業者が書きやすさを求め必要な項目を足し、マニフェストを発行しています。

そのため、中には記載する必要のない項目が存在するマニフェストもあります。

マニフェストの注意点

マニフェストには法的期間というものが設定されており、期間内に必ず返送、確認をしなければなりません。

期間内に返送・確認が必要

排出事業者はマニフェストの交付後90日以内に、産業廃棄物の中間処理が終わった事をマニフェストで確認しなければならない。(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)

これはマニフェストのB2票D票が排出事業者に、交付後90日以内に返送されなければいけない事を示しています。

排出事業者はマニフェストの交付後180日以内に、中間処理業者から最終処分場に送られ、最終処分された事をマニフェストで確認しなければならない。

これはマニフェストのE票が排出事業者に、交付後180日以内に返送されなければいけない事を示しています。

上記は、よく知られている規則です。

これは排出業者側の規則であり、中間処分業者の規則ではありません。

収集運搬業者ならび中間処分業者のマニフェスト返送期限

委託された側の業者(運搬業者や処理業者)から見た返送期限は、

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の法第十二条の三第三項
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の第八条の二十二

により、運搬もしくは処分後10日と定められています。

まとめ

マニフェストを利用する場合、すべての責任は排出事業者にあります。

産業廃棄物が最後まで正しい方法で処分されたか確認する必要があります。

そして、排出事業者は180日以内に返送されてきたマニフェストの整合性をチェックしなければいけません。

依頼を受けた収集運搬業者、中間処理業者は作業後10日以内にマニフェストを排出事業者に返送するようにしましょう。

参照:日本産業処理振興センター(通称JW)

マニフェストに関連するコラムはこちら
参照:産業廃棄物マニフェストの書き方とは?種類別の書き方を徹底解説
参照:産業廃棄物のマニフェスト制度とは?

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事