フードバンクとは?食品ロスの現状と活動内容について徹底解説
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今回は、近年注目を集める「フードバンク(食品銀行)」について解説します。

フードバンクとは?

フードバンクとは、食品銀行を意味します。食品の製造で発生した規格外品、包装破損、過剰在庫、印字ミスなどを理由に、本来なら食べられる食品であるにもかかわらず流通されない食品や廃棄される食品を、食品を必要とする施設、団体、困窮世帯に無料で提供する社会福祉活動・団体のことを言います。

参照消費者庁 食品ロス削減関係参考資料
参照農林水産省 フードバンク

食べられる食品が廃棄される「食品ロス」の現状

食品ロスとは、本来なら食べることが可能なはずが廃棄されてしまう食品のことを言います。平成28年度、日本国内での食品ロス量の合計は約643万トンで、事業者から発生した食品ロス量は約352万トン、家庭から発生した食品ロス量は約291万トンという結果でした。

参照環境省 食品ロスポータルサイト

フードバンク活動の具体的な内容

現在、日本では105の団体が各地でフードバンク活動を行っています。その一例として、日本で初めてフードバンク活動を始めた「セカンドハーベスト・ジャパン(認)」とフードバンクこども支援プロジェクトを初めて実施した「認定NPO法人フードバンク山梨」の活動例をまとめました。

セカンドハーベスト・ジャパン(認)の活動例

日本初のフードバンクとして、様々な理由により販売できない食品、買い替え時期が迫った防災備蓄品など企業からの寄付を必要な団体や個人へ届ける活動や、フードドライブ※を通じて提供された食品を必要とする家庭へ届けるなど、日本のフードバンク活動の先駆けとして多岐にわたる活動を実施しています。

具体的な活動内容は下記の通りです。

フードバンク活動 企業からの寄付を個人・団体へ提供
ハーベストキッチン 炊き出し
ハーベストパントリー
  • 個人・家族へ宅配便で食品パッケージを届ける
  • セカンドハーベスト・ジャパンのフードパントリー拠点で食料品を手渡す
  • 隅田川沿いのモバイル・パントリーで食品を配布提供
政策提言・発展 フードバンク研修会(シンポジウム)の開催や農林水産省から補助金交付を受け「フードバンク活動推進事業」を実施するなど

フードバンクこども支援プロジェクト

フードバンクこども支援プロジェクトは、子どもを持つ世帯の7割が1日1人当たりの食費が400円未満という調査結果を受け、「認定NPO法人フードバンク山梨」が2015年夏に日本で初めて活動を始めました。現在はこれをモデルとして各地域で取り組みが広がっています。

基本的に、企業や団体、または市民の方から寄付された食品を、フードドライブを通して、食品を必要とする家庭に届けられます。

 

【食品が提供される流れの一例】

  1. 各学校を通じて案内を保護者に渡す
  2. 食品を希望とする場合はフードバンク団体に直接申し込みを行う
  3. 宅配便などで各家庭に直接食品が届く

※フードドライブとは?

フードドライブとは、各家庭で余っている未開封で賞味期限前の食品を学校や職場に集め、地域の福祉団体や施設、またはフードバンク団体に寄付することを言います。

参照セカンドハーベスト・ジャパンの歴史
参照消費者庁 食品ロス削減関係参考資料

国のフードバンク活動支援

2020年2月19日、関連する各省庁の大臣や有識者を集め、第3回食品ロス削減推進会議が開催され、食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針が取りまとめられました。この基本方針では、家庭や外食先でできる具体的な食品ロス対策や、国によるフードバンク活動への支援が盛り込まれています。

参照消費者庁 第3回食品ロス削減推進会議(2020年2月19日)
参照ヤフーニュース「食品ロス」削減 消費者や事業者に行動ヒント例示 政府基本方針案

まとめ

現在、日本国内での食品ロス量は約643万トンです。その廃棄理由は、各家庭では食べ残し、過剰除去、直接廃棄があり、事業所では余剰在庫、規格外品、印字ミスなど様々です。

フードバンク活動はアメリカで始まり、日本では現在105の団体が活動しています。しかし、日本のフードバンク活動の歴史はまだ浅く、現在やっと広がりはじめたところです。フードバンク活動を行う上での食品の品質確保や衛生管理、情報管理などを考慮した「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」が農林水産省のホームページで公開されるなど、活動に関する様々な環境が整いつつあります。

「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」などを通し、世間のフードバンク活動への関心が高まることで、今後の活動の広がりが期待されます。

参照フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き

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