「廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン」とは?

廃棄物処理における新型コロナウイルス感染症対策

令和2年1月30日、中華人民共和国を中心に新型コロナウイルス感染症COVID-19(coronavirus disease 2019)流行を受けて、日本では環境省から「廃棄物処理における新型コロナウイルス対策の実施等について」という通知が出されました。この通知では、「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置した旨や「廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン(平成21年3月)」に基づき、安全かつ安定的に廃棄物の適正な処理を行うよう書かれています。

<参考>環境省 新型コロナウイルスに関連した感染症対策
<参考>環境省 廃棄物処理における新型コロナウイルス対策の実施等について

ガイドラインにおける「新型インフルエンザ」とは?

廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン」における、新型インフルエンザとは、新型インフルエンザウイルス人間に感染して起こる疾患とされています。鳥にのみ感染していた鳥インフルエンザウイルスが、偶発的に人間に感染し、遺伝子変異により人間の体内で増えるようになり、さらに人間から人間へ感染するようになったものを新型インフルエンザウイルスと言います。通常のインフルエンザと比べ、不明な部分もあり、重症化する可能性が指摘されています。

<参考>環境省 廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン

廃棄物処理における新型インフルエンザへの対策

新型インフルエンザによって排出される廃棄物

【医療機関】
感染性廃棄物(例:診断・治療・検査などに使用する医療器材)
【家庭や事業所】
一般廃棄物(例:感染者の鼻水や痰が付着したティッシュなど)

廃棄物の処理方法

【医療機関】
感染性廃棄物は「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき処理
【家庭や事業所】
ゴミ袋に入れて封をしてから排出

新型インフルエンザ流行時の廃棄物処理事業者に求められる措置

新型インフルエンザ発生時であっても、廃棄物処理など事業を停止することで最低限の国民生活の維持に支障をきたすおそれのある廃棄物処理事業者事業継続が求められることになります。よって、非常事態においても事業継続ができるよう、事前に新型インフルエンザ流行の事態を考慮した事業継続計画を準備する必要があります。

事業継続計画の事前準備と計画内容

事業継続計画では、廃棄物処理事業者が主に4つの計画内容について事前に検討した上で、事業計画としてとりまとめる必要があります。以下は、計画内容を検討する上で、とくに重要視すべき内容の例です。

1.新型インフルエンザ対策の体制整備

・危機管理体制の構築
・意思決定方法の明確化
・指揮命令系統を明確化
・情報収集や緊急時の連絡体制の整備

2.業務内容を踏まえた感染防止策

・基本的な感染防止策(2m以上の対人距離の保持、人混みやむやみな外出を避ける、外出後の手洗い、マスクの着用、咳エチケットの順守)
・業務上の感染リスク(感染者や不特定多数の人との接触など)を考慮し、業務内容に合わせた感染防止策を定める。以下は、廃棄物処理事業者の各業務において考えられる感染防止策の例になります。

3.人員及び物資の確保

・人員計画(従業員が長期多数欠勤した際の代替要員の手配、処理実務担当者の優先的確保)
・製造業者の事業自粛により調達困難のおそれがある消耗品などの備蓄量の調整

4.人員が不足した場合に備えた優先業務の特定

・非常事態(人員や物資不足など)における重要業務の絞り込み、優先業務の特定
【優先業務の特定で考慮すべき点】
・社会機能維持
・腐敗しやすい可燃ごみ
・生活環境保全上の支障の有無
・医療機関やライフライン関連事業から排出される廃棄物処理の優先

<参考>環境省廃棄物処理における新型インフルエンザ対策Q&A

まとめ

過去の新型インフルエンザは、およそ10年から40年の周期で流行してきたとされていますが、次の新型インフルエンザがいつ発生するかの予測は不可能とされています。新型インフルエンザは、通常のインフルエンザと同様の外出後の手洗いや咳エチケットの順守、人混みを避けるといった基本的な感染防止対策が重要とされています。廃棄物処理事業者においてはこれらの基本的な感染防止対策に加え、新型インフルエンザ流行において予測される様々な非常事態での事業継続に備え、事前に事業継続計画を検討することが重要です。

過去のコロナウイルスに関するコラムはこちら
<参照>コロナウイルスとは?日本国内の廃棄物処理の対策

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