産業廃棄物のマニフェスト制度とは?記載内容や処理の流れについて徹底解説

今回は、産業廃棄物のマニフェスト制度について解説します。記載内容や処理の流れなど、ぜひ参考にしてください。

マニフェスト制度とは?

マニフェスト制度とは、産業廃棄物の排出事業者が処理業者に産業廃棄物の処理(収集・運搬、中間処理、最終処分など)を委託する場合、排出事業者が処理業者にマニフェストを交付する制度のことです。

産業廃棄物を処理する責任義務がある排出事業者の明確化、廃棄物の不適切処理や不法投棄の防止を目的としています。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは?

マニフェストは「産業廃棄物管理票」とも呼ばれ、7枚(A・B1・B2・C1・C2・D票・E票)の伝票になっています。従来の紙マニフェストとオンライン上で情報を電子化した電子マニフェストの2種類があります。

産業廃棄物が誰にどのように処理されたかがマニフェストに書かれていることで、産業廃棄物処理の記録を保存できるとともに、最終的に適正な処理が行われているかを確認することができます。

マニフェストに必要事項を記載し、処理業者は廃棄物処理が完了した後に、伝票の一部を排出事業者へ提出し、適正に処理されたことを排出事業者が確認する流れとなります。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)に記載する内容

マニフェストには、産業廃棄物が適切に処理されたことを確認し、記録を保存管理する目的があります。よって、マニフェストに記載する内容として、産業廃棄物処理がどこでどのように処理されたか、処理に関わった業者などの様々な情報が必要となります。

以下はその一例になります。

廃棄物に関する内容 産業廃棄物の種類、数量など
処理に関わった業者 収集・運搬業者、委託業者、中間処理業者、最終処分業者など
日付 マニフェスト発行日、収集・運搬完了日、最終処分完了日など

マニフェスト制度の行政指導から法的制度への歴史

マニフェスト制度は、1990年に厚生省(現在の環境省)による行政指導として始まり、1993年から特別管理産業廃棄物の処理に対してマニフェストの使用が法的に義務化されました。

1990年 厚生省の通知により行政指導としてスタート
1993年 特別管理産業廃棄物を委託処理する場合、マニフェストの使用が義務化特別管理産業廃棄物を委託処理する場合、マニフェストの使用が義務化
1998年 すべての産業廃棄物に対して委託処理する場合マニフェストの使用が義務化
従来の「紙マニフェスト」に加えて「電子マニフェスト」の導入がスタート
2001年 最終処分終了報告の確認が義務化
2005年 マニフェストに関する罰則の強化(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)
運搬委託者・処分委託者の氏名と会社名の記入を追加
2011年 「排出事業者の控え」の5年間保存を義務化
2018年 虚偽記載をした場合の罰則強化(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)
2020年 PCB廃棄物を含まない特別管理産業廃棄物の多量排出事業者は電子マニフェストの使用を義務化

参照JWNET 廃棄物処理法に基づく電子マニフェスト
参照JWセンター 産廃知識 マニフェスト制度

マニフェストと産業廃棄物処理の流れ

マニフェストの大まかな流れとして、排出事業者が処理業者にマニフェストを交付し、産業廃棄物を処理後、適切な処理を行ったかどうかを排出事業者が確認する流れとなります。

排出事業者は、処理業者にマニフェストを交付後90日以内、特別管理産業廃棄物の場合は60日以内に、処理業者が廃棄物の中間処理を完了させたことをマニフェストにて確認をします。また、中間処理を行い最終処分まで行う場合は交付後180日以内に最終処分が完了したことを確認します。

これらの期限を過ぎても処理業者からの処理報告がない場合は、処理状況を確認した上で都道府県に報告します。

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出典: JWセンター 産廃知識 マニフェスト制度

参照JWセンター 産廃知識 マニフェスト制度

まとめ

マニフェスト制度が始まる以前の産業廃棄物処理は、処理を誰がどのように行ったかを明確にするシステムが存在せず、処理の責任や過去の処理を確認するための記録が曖昧な状態になっていました。

1990年にマニフェストの使用が行政指導としてスタートし、1993年には特別管理産業廃棄物のマニフェストの使用が法的な義務としてスタートしました。現在はすべての産業廃棄物に対してマニフェストが必要なだけではなく、1998年にスタートしたオンライン上で情報管理できる電子マニフェストが活用されています。

2020年4月には、特別管理産業廃棄物の多量排出事業者に対して電子マニフェストの使用が義務化されることになっています。紙マニフェストの使用がスタートした当時と比べると、現在は携帯電話やパソコンなどが普及したおかげで、場所に関係なく簡単にオンライン上で情報を確認・共有・保存することが可能になりました。

その利便性から、今後も電子マニフェストの活躍の幅は広がっていくことでしょう。次回は電子マニフェストも含め、マニフェストと産業廃棄物処理の流れについて詳しくご紹介します。

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