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海洋プラスチックごみ問題の現状
日本がレジ袋の有料化に踏み切った背景には、海洋プラスチックごみ問題の議論が世界各国で加速したことが理由の一つとされています。2016年に行われた世界経済フォーラムの報告書によると、800万トンのプラスチックごみが海に流出していると推計され、2050年には海に流出するプラスチック量が魚の重量を超えると予測されています。2010年に推計した陸上から海に流出したプラスチックごみの発生量を人口密度や経済状態などから国別に推計したところ、日本は年間2~6万トンの発生量で30位とされ、上位4か国を東・東南アジアが占めているとされています。
G20大阪サミットでの海洋プラスチックごみ対策議論の成果
2019年に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現を各国と共有し、安倍総理は日本が途上国の廃棄物管理に関する能力構築及びインフラ整備などを支援していく旨を表明しました。また、日本政府が海洋プラスチックごみ対策のために廃棄物管理、海洋ごみの回収、イノベーション及び能力強化に焦点を当てた「マリーン・イニシア ティブ」を立ち上げることになりました。
参照G20大阪サミットにおける海洋プラスチックごみ対策に関する成果
参照外務省大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現のための 日本の「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」
日本のプラスチックごみ対策としてのレジ袋有料化義務化とは?
2019年5月31日決定した「プラスチック資源循環戦略」では、資源や廃棄物削減、海洋ごみ対策、地球温暖化対策など考慮し、プラスチックの資源循環を推進するための重点戦略の1つとして「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止など)」を行い、消費者のライフスタイル変革を促すとしています。具体的には、プラスチック製の買い物袋を有料化することで過剰使用の抑制していくことを基本とし、バイオマスプラスチックや紙などの再生可能資源を用いた買い物袋、繰り返し使用できるリユースバッグ、海洋生分解機能が適切に働く海洋生分解性プラスチック※などによる買い物袋への変更を推進することとしています。
海洋生分解性プラスチックとは?
海洋生分解性プラスチックとは、海洋中に存在する微生物によって、水と二酸化炭素に分解することが可能なプラスチックのことを言います。最終的に水と二酸化炭素にまで分解されることで、海洋プラスチックごみ処理問題の解決につながることが期待され、研究や開発が進められています。
参照プラスチック製買物袋の有料化のあり方について(案)
参照参考資料レジ袋有料化に係る背景について
参照海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ
日中韓三カ国環境大臣会合の海洋プラスチックごみ対策への姿勢
2019年11月23日から24日に福岡県北九州市で開催された第21回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM21)には日本からは小泉環境相が参加しました。今回の会合にて、小泉環境相を含む中国の李幹傑生態環境部長、韓国の趙明來環境部長官は、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの問題に対し、3か国が連携して取り組むことで合意しました。
参照環境省第21回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM21)の結果について
まとめ
すでに一部のスーパーなどで買い物袋の有料化が実地され、プラスチック問題を身近に感じる機会が多くなってきました。今まで廃棄物処理技術は進んでいるとされてきた日本が、他国に比べ、まだレジ袋有料化をスタートさせていないことを始め、海洋プラスチックごみ対策に追われる結果となっています。本来であれば、日本では家庭内で排出されたレジ袋を含む一般廃棄物は定期的な回収処分や法律に従った処分・リサイクルが可能で、最終処分場では法律に従いしかるべき処分がなされています。このような現状を踏まえ、なぜ海でプラスチック製品が発見され世界規模で問題となっているのか、それは果たしてレジ袋の使用抑制・禁止することだけで解決される問題なのか。日々の暮らしで自分には何ができるのか、改めて考えていきたい問題です。
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