目次
産業廃棄物収集運搬車両の種類
産業廃棄物は、種類によって性質や形状が異なるため、収集運搬する際は産業廃棄物が飛散・流出したり、悪臭が発生しないよう、それぞれに適した車両を使用する必要があります。
ダンプ車・平ボディトラック
特徴:運用費が低く、大型廃棄物を含め全般的に利用可能で、固形の廃棄物に適する
使用例:がれき類・燃え殻・ばいじん・廃プラスチック類・木くず・動植物性残さ・ゴムくず・金属くず・紙くず・動物のふん尿・繊維くず・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず
バッカー車(塵芥車)
特徴:圧縮可能な廃棄物に適する
使用例:廃プラスチック類
脱着装置付きコンテナ車
特徴:排出事業所の専用コンテナで定期回収可能で、腐食しない廃棄物を一時的に保管可能
使用例:がれき類・燃え殻・ばいじん・廃プラスチック類・木くず・動植物性残さ・ゴムくず・金属くず・紙くず・動物のふん尿・繊維くず・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず
タンクローリー車
特徴:ドラム缶では収まらない大量の液体に適する
使用例:汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ
汚泥吸引車(バキュームダンパー)
特徴:気圧を利用し、汚泥や産業廃液などを吸入するのに適する
使用例:汚泥
産業廃棄物収集運搬容器の種類
車両と同じように収集運搬する際に使う容器も、産業廃棄物の性質によって適した容器を使用する必要があります。
ドラム缶
特徴:安価で、感染性廃棄物や腐食性のある廃液以外の多くの廃棄物に利用できる
使用例:がれき類・燃え殻・紙くず・木くず・繊維くず・ゴムくず・金属くず・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず・鉱さい・ばいじん・動植物性残さ・廃プラスチック類・汚泥・廃油
プラスチックドラム
特徴:耐食性があり、腐食性を有する廃棄物に適する
使用例:廃アルカリ・廃酸
フレキシブルコンテナ
特徴:安価で使い捨て可能
使用例:がれき類・燃え殻・紙くず・木くず・繊維くず・ゴムくず・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず・鉱さい・ばいじん・動植物性残さ・廃プラスチック類・汚泥・
コンテナ車両を利用したコンテナ
特徴:腐食しない廃棄物を一時的に保管可能で、現場にコンテナを設置して収集できる
使用例:がれき類・燃え殻・ばいじん・廃プラスチック類・木くず・動植物性残さ・ゴムくず・金属くず・紙くず・動物のふん尿・繊維くず・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず
石油缶
特徴:石油に利用される
使用例:石油缶
感染性廃棄物容器
特徴:容器に感染性廃棄物である旨を表示し、再利用は不可
使用例:感染性廃棄物(特別管理産業廃棄物に属する)
産業廃棄物の収集運搬車両への義務
排出事業者や処理を委託された業者が、産業廃棄物を収集運搬する際は以下の基準に従う必要があります。
車両への表示義務
産業廃棄物を収集運搬する車両の両側面には、以下の内容を表示する義務があります。
排出事業者が収集運搬する場合は「産業廃棄物を収集運搬している旨の表示」と「排出事業者名」、委託された処理業者が収集運搬する場合は「産業廃棄物を収集運搬している旨の表示」、「業者名」、「下6ケタ以上の許可番号」を表示する義務があります。
表示された文字は原則的に印刷文字とされており、着脱可能なマグネットでの表示は許可されています。また、表示が車両の左右別の位置にあっても良いとされていますが、表示が隠れていると義務違反になるため注意が必要です。
書面備え付け(携帯)の義務
携帯する書類の内容は、誰が収集運搬するか、電子マニフェストを使用しているかによって異なります。
【排出事業者が産業廃棄物を収集運搬する場合】
以下の事項を記載した書類
・氏名または名称および住所
・廃棄物の種類・数量
・廃棄物を積載した日にち
・積載した事業所の名称・住所・電話番号
・運搬先の事業所の名称・住所・電話番号
【委託された処理業者が産業廃棄物を収集運搬する場合の記載事項】
・マニフェスト(産業廃棄物管理票)
・産業廃棄物収集運搬業許可証のコピー
【電子マニフェストを使用している場合】
・産業廃棄物収集運搬業許可証のコピー
・電子マニフェスト使用証
・パソコンや携帯電話などで常に確認できる電子情報、または下記の事項を記載した書類
(廃棄物の種類・数量、廃棄物そ積載した日にち、積載した事業所の名称と連絡先、運搬先事業所の名称と連絡先、運搬を委託した人の名前または名称、積載した事業所の名称と連絡先)
マニフェストを発行していない場合や嘘の記載など、マニフェストに関する義務が順守できていない排出事業者や処理業者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
<参考>環境省産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務
<参考>JWNET措置命令と罰則
まとめ
産業廃棄物を収集運搬する際に、廃棄物が飛散・流失したり、悪臭が発生しないようそれぞれの性質にあった容器と収集運搬車両が必要です。一般的に安価で利用できることから容器はドラム缶、車両はダンプ車や平ボディ車がよく利用されます。そして、収集運搬する際はマニフェストや許可証などを携帯すること、産業廃棄物を収集運搬している旨の車体への表示が義務となります。近年はペーパーレス化に伴い電子マニフェストが導入され、携帯が便利になりました。しかし、電子マニフェストであっても紙面であっても、虚偽があってはならないことや、排出現場から排出事業者が事務所へ産業廃棄物を持ち帰るといったありがちな運搬シーンであっても表示や書面の携帯は必須なため、収集運搬の際は常に気を付けたいものです。